上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
突然の来訪者




4月に入ると街中が初々しい空気に包まれる。
毎日の通勤電車もいつも見る顔ぶれから学生や新社会人達の雰囲気がどこか新鮮でこっちまで気持ちが引き締まるような気分。



わたしの勤める会社にも新卒の新入社員が入ってくるけれど、初月は違う場所で新人研修が行われる為オフィス内はいつもと変わりない毎日が過ぎて行く。



あれから結城課長とは一度も会っていない。
結城課長はもともと出張が多く社内にいることが少ないし、たまにいても上層部との会議が多くて忙しそうにしている。
この間は企画部の人と話しながら歩いているところをすれ違ったけれど私のことなんて気づいてなかったと思う。



仕事終わりにエントランス内や出入り口の横であの時の女性を何度か見かけた。
結城課長を待っているんだと思う。

社内でもその女性は結城課長の彼女だとか彼女じゃないとかいろんな噂が立ってるけど、わかったのは矢野真奈美さんという名前で日本でも大企業の矢野建設の娘さんということを恵菜ちゃんが教えてくれた。



「亜子……平気? 少し痩せた気がする」

「そうかな? でも平気だよ」

展望台のスペースでお弁当を広げて、いたって普通に食べてる私に雅は心配しながらも鋭く突っ込む。
金曜日ということもあってか今日は外食に出る人が多いようでお弁当を食べに来てる人が少なく感じる。


雅に言われてたしかに少しウエスト周りが細くなったのか最近服が緩くなった気はする。
でも本当言うともっとショックが大きいんじゃないかって思っていたけど意外にそうでもなくて食欲も普通にある。


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