恋愛イデアル。
遠い日。記憶が薄れる予感。
情報化社会とは何だろう?

「そういえば、最近読みたい本が減りましたねえ」と長月遥。

「そういえばそうかもしれんな」とイデアル。
「青空文庫やケータイ小説を専ら読んでいますので」
「確かに文芸は遠くなったな」
遠い日。薄らいだ記憶。
手探り。
とイデアルはふと思い出す。
大晦日。雪がお寺のお堂をしんしんとふって埋めてていく。
枕草子の文章の一節を。
それを彼女はふと思い出したのである。
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