恋愛イデアル。
ゆるやかなリアリズム。
ゆるやかなリアリズム。

「そ。麻雀の格言だね。
運をとらえるためには、「相互間」、「全体観」、「時の感覚」をしっかりと持っていないといけない」と長月遥はイデアルに言った。

アイスクリームが運ばれた。冬の喫茶店。
水守市の中央地区だ。

イデアルはアイスクリームをスプーンですくう。
暖房が暖かい。ソファだ。

「それってたぶん「ゆるやかなリアリズム」だな」とイデアル。
「どういうことよ?」と長月遥。

「いや、こちらが言いたかったことは小説の書き方だよ。
リアリズム小説というのは、事実ゆえの限界がある。

メッセージを伝えるためには意識がさほど自己を確立していないということを利用すべきなんだ」

とイデアル。
さらに。
「そして、だ、それらに統一性を持たせるための方法の一つとして、会話体といった「ゆるやかなリアリズム」を使うべきなんだよ」
とそう述べるとイデアルはスプーンでアイスクリームを食べる。長月遥はジト目。

「それって麻雀と関係があるの?」「冷たい言葉だな。遥よ。

相互・全体・時こそが小説が述べてきたほぼ全てなんだよ」とイデアル。長月遥とイデアルは女子高生である。
< 140 / 215 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop