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「それで、俺がメッセージを送るまで、行列を並ぶのに付き合わされると思っていたんですか」

「そうなんです。すみません、わたしが休みの日の朝に役に立てることが、そのくらいしか思いつかなくって。たくさん着込んでカイロもいっぱい持ってくるところでした」

 有紗は少しだけ腰を浮かし、皺にならないようにスカートを伸ばして座り直した。

 久しぶりに袖を通したダークブラウンのAラインワンピースと、スカート丈に合う短めの生成りジャケット。親族との食事会用にいくつかこういったセミフォーマルを持っているが、その中でもいちばん落ち着いて見えるものだ。

 神長は七時きっかりに、以前風邪を引いたときに寄ったあのコンビニまで迎えに来た。今車で向かっているのは大手町にあるラグジュアリーホテル、アマン東京の高層階にあるレストランだ。

七時から三時間付き合って欲しいと言われたその場所は、ガジェットを買うための行列ではなく、朝食だった。