卒業します

デート

あの日から1週間。

私は、ようやく学校に登校できた。

「夏苗、おはよう。」

「夏苗ちゃん、もう大丈夫?」

送りの車から降りると

同じく車で登校した親友の岡本玲奈と木下桜に

両腕を掴まれる。

「もう、心配したんだからね。
夏苗ちゃんのお宅にお見舞に行ったら
おば様に「体調を崩して入院している」って言われるし………」

「そうだよ。
病院を教えて下さいって言っても『病院じゃないのよ』って。
ホントに心配したんだから。
誠次さんに聞いても『あっ…………えっと……。』って煮え切らなし。
ほらほら、教室でじっくり聞かせてよ!」って。

じっくりって、どこからどこまで??

初恋から?

誠ちゃんに失恋したこと?

入院じゃなくて、春人さんのお宅でご厄介になってたことも??

う~ん………………。

腕を引っ張られながら悩んでいたら

校門の方が騒がしくなる。

3人で思わず振り返ると

見覚えのある車から降りてきた人物に目が奪われた。

「ワァ!素敵。」

「……………カッコイイ!」

「えっ!誰々??」

口々に騒ぐお嬢様達の一人に

その人が質問する。

「職員室はどちらですか?」



……………………………………………最悪。

その人は………

4日前までお世話になっていた春人さん。

どうしてここに?

……………………………玲奈と桜に、ホントの事は話せない。
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