「私を助けてくれたのは……あなただったの?」


 私の問いに応えるように、静かに頷き伸ばされた手によって抱き寄せられた。
 その瞬間。ぼんやりとしていた記憶が鮮明に蘇る。
 酔い潰れながらも私の脳裏に焼き付いている、あの日の出来事。そして、抱き上げられた時の心地よい感覚。
 ずっと、誰だったのだろうと思っていた。ずっと、知りたいと思っていた。


「気付くの遅いんだよ」

「ごめんね」


 私に向けられている笑顔が少し照れながら、はにかんでいるように見えるから。
なんだか、こっちまで嬉しくて恥ずかしいような気分になってしまう。

 それもそのはずだ。ずっと見てみたいと思っていた、この人の素顔が目の前にあって。真っすぐに私だけを見つめている。
私に向けてほしいと思っていた瞳には、私だけが映っているのだから。
 しかも、大好きなあなたが私を助けてくれた人だったと判明して、こんなに嬉しいことはない。
 信じられないような奇跡が、現実におきている。


「幸?」


 名前を呼ばれて、つい「ふふっ」と顔が綻んでしまう。
 それは、嬉しい気持ちと何だか少しくすぐったい様な気持ちでね。どう説明したらいいのか分からなくて、上手く言えないけれど。


___今の私は、幸せな気持ちで満たされていて。世界一の幸せ者だと思っているということは確かなのだ。

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