異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 自治団の男たち全員が息を合わせ、川縁からロープを引く。引き上げる力が加わったことで、進みがグンと楽になるのを感じた。
 かかる声援を後押しに、俺たちは全員でロープを手繰り寄せながら、川縁を目指した。
「旦那、女の子をこちらに!!」
「ああ、頼む」
 差し出された、自治団員の手に少女を渡し、俺がまず川縁に上がる。その際、俺に向かって幾つかの手が差し出されたが、取るまでもなく腕力だけで上がった。
「よし、掴まれ!」
「は、はいっ!」
 振り返り、後に続く少年に手を差し出して、引っ張り上げる。
「おぉおぉ! 兄ちゃん、あんたもよくがんばった!」
 自治団員らの手に、少年も引き取られた。
「マリーナ!!」
「ライっ!!」
 そうして最後、俺は身をのり出して、自らの手ですくい上げるようにマリーナを抱き上げた。
「がんばった! よくがんばったな!!」
「うん! うん、ライっ!! ライーーっ!!」
 俺がしっかりと抱きしめれば、マリーナも渾身の力で俺を抱き返す。
 小刻みに震える体と、その目から とめどなくあふれる涙に、奮闘の裏にあったマリーナの恐怖と心細さ、その大きさを痛いくらいに感じた。
「姫様、ご無事でなによりです!」


< 212 / 325 >

この作品をシェア

pagetop