けれど人というのは、欲張りでいかんな。
 こうして眼下に、健やかなマリーナの寝姿を眺めていれば、うれしいだけでは終われない。否が応にも想いは募り、もっともっとと欲が出る。自分本位な新たな願いが顔を出す。
「……ん、ライ。もう、朝?」
 身じろぎする気配と共にマリーナから小さく声が上がる。
「おはようマリーナ、起きたか」
 マリーナは枕に頭を預けたまま、ゆっくりと半分ほど目を開いた。
 常の寝坊とはあきらかに異なり、とろんとまぶたが重そうだった。
「マリーナ、怠いのか?」
 俺はそっと手を伸ばし、マリーナの額にあてがった。
「……熱は、なさそうだな」
 俺はホッと安堵に肩をなで下した。
「ん、大丈夫。起きるよ」
 緩慢な動作で身を起こそうとするマリーナの肩をトンと押す。そうすればマリーナは、たやすく布団に逆戻りした。
「ライ?」
「今日の訓練は中止する。食事も部屋に運ぶから、マリーナは体をゆっくり休ませるんだ」