「そうだ。ライ、そのお菓子に関してはさ、たまたま持ってただけの私じゃなくて、くれたリィに感謝しなくっちゃ。後で改めて、リィにお礼を言っておこう」
「……マリーナ、奴は今日づけで騎士団を去った」
「え? リィ、騎士団を辞めちゃったの? ずいぶんと急に、なんでだろうね」
「家庭の事情だ」
 ライが少し間を置いて答える。
「へぇ、そっか。お家の事情じゃ仕方ないね。彼ね、私にいろいろよくしてくれたから、最後に挨拶くらいしたかったんだけど、残念。でも、もし彼がこのかわら版を見たら、自分のお菓子が人助けに一役買ったことに、気づくかもしれないね。なんか、このかわら版、もうずいぶんと出回ってるみたいだから」
「そうだな」
 ライが、私の頭をポンポンッとなでる。
「……このかわら版が、国外まで出回ればあるいはな。さてマリーナ、すっかり本調子のようだから、夕食は食堂に食いに行こう」
 最初の方、国外うんぬんはよくわからなかったけど、けど肝心の「夕食は食堂に食いに行こう」は、よーく聞こえたからなんの問題もないだろう!
「うん!」
 私は元気よく答え、ライと並んで食堂に向かった。