異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 だけど一度やったらもう、止まらなかった。そうして私は昨日の夜も、厨房に忍び込んで食べた。
 ものすごく、おいしかった。食べてるときは、おいしくて幸せで……。
 だけど食べ終わった後に、昔みたいな満たされた感じはなかった。脳裏には、悲しそうな顔をしたお父さまにお母さま、それからライの姿が順繰りに浮かんだ。
 私は申し訳なくて、誘惑に負けた自分が切なくて泣いた。
 だけど自分に弱い私は、きっと今晩も忍び込んで食べるだろう……。
「うん! とりあえず、しっかり歩こーっと!!」
 私はせめてもの罪滅ぼしに、真剣なウォーキングを胸に誓った。



 忍び食いの連続記録を五回にまで伸ばしたその翌日、ノートを受け取ったライが、しかめ面をしながら首をひねっていた。
「マリーナ……、食事内容に記入漏れはないか?」
 ギクッ!
「は、はい」
 答えながら、自然と私の目線が泳ぐ。


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