スパークリング・ハニー
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放課後、教室にて。

ふふふーん、と鼻歌をうたいながら、シャーペンをしゃっしゃと動かす。



「できたっ!」



ルーズリーフの上、浮かびあがった親友の似顔絵。

うんうん、我ながらそっくり。
あとで見せてあげよう。



そろりと視線をあげると、ルーズリーフの上半分にはとぎれた数式が残っていた。
ほんとうは数学の課題を解いていたはずだったんだけどな。


いつのまにか脱線しちゃっていた。

集中力はあまり続かない性分だ。


だって、疲れちゃったんだもん。
それに、これだけ頑張ったもんね。



なけなしの集中力で進めた分のページをぺらぺらと捲って確かめる。

うん、ちゃんと進んでる。一応ね。

────だから。



「ちょっと休憩!」



ひとりきりの教室。
誰に告げるわけでもなく、ひとりごとだ。


ぐっと伸びをして、それから窓の外をのぞいた。


煌々と明るくグラウンドを照らす太陽はまだ沈みそうにない。


そっか、もう夏だもん。



きらきらと眩しいくらいに太陽が照りつけている。

────でもね、太陽よりも眩しいとっておきのものを私は知っているんだよ。



「あっ」



発見。
……ううん、発見するまでもない。
自然と視線が吸い寄せられるんだもの。




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