無気力なキミの独占欲が甘々すぎる。
今まで、わたしは夏向に気持ちを確認するようなことはしたことがなかったから。
気持ちなんてものは、わたしたちの関係には無いようなものだと、割り切った関係のようなものだと思われているから……。
それを証拠に夏向は、わたしの瞳を見てはっきり言った。
「……答えたくないから、その口塞いでいい?」
なんて都合のいい答えだろう……。
せめて、好きか嫌いかくらい答えてくれてもいいのに……。
そんなに難しい選択を迫ったわけでもないのに。
すぐに、夏向の唇が押し付けられた。
その反動で、さっきまで握っていなかった手に力が入って握り返してしまった。
それに気づいた夏向はさらに深くキスをしてくる。
「今は俺だけのこと考えてればいーじゃん。
気持ちなんて知らなくていーんだよ」
この手を振りほどいて、逃げることができたらいいのに……。
結局は、夏向の甘さに流されてしまう自分がいちばん嫌いだ――。