リゾルデ豊穣祭から、十日ほどが過ぎた。

 ティアンネ皇妃は、現在も謹慎中である。彼女の姿が見えなくなって以降、皇帝がアデリナ皇妃を気にかけることがずいぶん増えたようにヴィオラの芽には映っていた。

(……今日もまた、満月宮にいらしている)

 ティアンネ妃が謹慎となった今、アデリナ皇妃にせまる危険も回避されたわけで、ヴィオラはクィアトール宮に戻ってもいいはずだ。だが、ヴィオラがいなくなることを嫌がったのは、皇妃だった。

「私、娘も欲しかったんだもの。こちらの宮で生活するのになにか問題があるかしら?」

「そういうこともないと思うんですけど……」

 他の王国から来ている王族達は、自分に与えられた建物で生活するのが慣習だ。

 皇族に親戚がいる場合、その屋敷に滞在することもあるらしいけれど、縁もゆかりもなかった皇妃の住まいである満月宮に滞在するのはヴィオラくらいだ。

「あなたのおかげだもの。それに……」

 皇妃の要望で、今日のティータイムに出されているのはみたらし団子だ。

 この国にはヨモギもあるそうなので、春になったら草餅を作るのもいいかもしれない。