(皇妃様、好きなものだったらもうちょっと食べられるんじゃないかな……)

 リヒャルトの許可を得て、ヴィオラはあらためて騎士団の訓練の見学にやってきた。はた目には熱心に見学しているように見えるだろうけれど、ヴィオラの意識は完全に訓練から離れている。

「――様、ヴィオラ様」

「わわっ、びっくりした!」

「ぼーっとなさっているので、何事かと思いました。とっくに訓練は終わっていますよ?」

 にこにことしながらヴィオラに声をかけてきたのはセスだ。侍従と護衛と親友といった役割らしく、比較的ヴィオラと顔を合わせる機会も多い。

「全然、気がついてなかった。どうしよう……!」

 この場に残っているのが、自分一人だということに気がついて真っ赤になった。訓練を見に来たはずなのに、全然見ていなかったのがばればれだ。

「うんうん唸って、考え込んでらっしゃるようでしたので」

「ああ、それはね……」

 セスは、リヒャルトにとても近い位置にいるから、きっと親子の関係についてもよく知っている。

 先日のお茶会のことを話すと、セスはものすごい勢いで何度も首を縦に振った。