紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
藤田家から、嫁をもらった優作さん。
縁談話が持ち上がってからひと月半。

今日は、祝言をあげる日だ。

屋敷の中は朝から、大忙し。店の方に最低限の人間だけを残して、奉公人も屋敷の方の手伝いに来ている。

友人でもある、兼義は朝から私について私の身の回りの世話をしていた。
めでたい日であるはずなのに、全くめでたそうな顔をしていない私をみかねたのか、バシッと背中を叩いてきた。

「そんな顔してると、お嫁に来てくれる方が可哀想じゃないか。しっかりしろよ、男だろ。」

「そうだよ、私みたいな女々しい男の元に嫁いでくるなんて、可哀想だ。」

兼義が、重いため息をついた。

「はぁ、そんな事を言っても、もう逃げられないんだからな。お前は、お嫁さんをしっかり幸せにすることだけを考えろよ。可哀想だなんて、言ってるとお前も相手も、不幸になるぞ。」

兼義は、そう言ってもう一度背中を叩き部屋を出ていった。

「ハァ。」

部屋に、私の重いため息だけが響いた。
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