恋愛初心者です、お手柔らかに？
誤解
仕事が定時で終わり、更衣室で着替えていた私に浜田愛美が声をかけてきた。

「永山さん、知ってます？齋藤君に彼女がいること」

「え？何の事？」

一瞬、彼女と言われ自分の事かとドキッとしたけれど、私を見下すような目で見ながら私に話しかけてきた浜田愛美を見て、違うと気づいた。

「だから、彼女がいるのに先輩風吹かせて、出かけたりして迷惑かけていいと思ってるんですか？って、言ってるんです」

次から次へと、浜田愛美は私に畳みかけてきた。
周りにいた人も、浜田愛美の後ろに立って私を取り囲んだ。

「ちょっと！永山さんは関係ないでしよ！」

取り囲まれ、言葉が出なくなっている私を庇うように倉橋さんが、前に立った。

「何よ！倉橋さんこそ関係ないでしょ！」

「何がよ！永山さんがこの間、齋藤君と出かけたのは、そんなんじゃないんだから。あなた達こそ、いい加減にしなさいよ！」

私が本来なら、違うと言わなければいけないのに、大人数で取り囲まれた私を見た倉橋さんは我慢が出来なかったみたい。

自分の事なのに、どこか遠くでその出来事を私は見ていた。

そう…齋藤君と付き合うという事は、こういう事なんだ、と。
そして、また思い出されてしまった。

「彼女がいるんだから」

その言葉が引っかかった。
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