一目惚れの彼女は人の妻
まさかの再会〜宏美Side〜
「田村さん、名刺を忘れないようにね」

「はい、課長」

 会社では、充さんは私を苗字で呼び、私は充さんを”課長”と呼んでいる。当たり前だけど。

 私はノート、手帳、筆記用具、名刺入れを持ち、課長と会議室へ向かった。うちのシステムをリニューアルする事になり、開発会社の人達と一回目の打ち合わせをするために。

 私は、課長と共にユーザー代表として今回のシステム開発に携わる事になったのだけど、そんな大役は初めてなので緊張してしまう。と言っても、優秀な課長に任せておけば安心で、私は課長の補佐をすれば良いと思うので、そう考えるとだいぶ気は楽になるけれども。

 会議室にはまだ誰も来てなくて、課長と待っていたら、経理部長の田中さんが入って来た。部長は今日だけ仕切り、次回以降の打ち合わせには参加しないらしい。

 そして少し経ち、予定ちょうどの時刻に4人の男性が入って来た。開発会社の人達だと思う。その中に、ひとり異彩を放つ男性がいた。若くて、スタイルが良くて、髪の毛は栗色でふさふさで、顔は整い過ぎと思えるほど綺麗な青年。その人は……

 うそ!? シュン君?
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