見上げる空は、ただ蒼く
盗み見るように隣に視線を
やると、奏も呆然としていた。

「嘘、だろ......。1ヶ月
なんて...ありえない。なんで結乃が
苦しまなきゃいけないんだよ。
アイツはのうのうと暮らしてんのにっ...。」

アイツっていうのはおそらく
私のお母さんのことだろう。
奏は私のことを深く傷つけた
お母さんのことを嫌っている。

「入院が1ヶ月長くなった理由は、
私がもともと抱えている
心的外傷後ストレス障害の悪化
が理由なんですか?」

私は静かに尋ねる。
紗綾さんは、キャラメル色の
セミロングの髪をさらさらと
揺らしながら縦に首を振った。

「そうみたいよ。薬も増える
って聞いたわ。結乃ちゃん、
本当に無理はしないで。私と
奏は結乃ちゃんのことが大好き
だから。言いたいことはなんでも
言っていいの。」

「ありがとう、ございます。」
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