危ナイ隣人

慣レナイ生活

『先月隣の地方に上陸した台風で被災した家が多く、業者の手が空いてない』

『申し訳ないけど、工事に入れるのは少し先になりそう』

──大家さんからそんな連絡をもらったのは、1週間前のこと。





「明日も夜帰ってこないの?」


「あぁ」



日曜日の夜。リビングのど真ん中でバラエティを見ながらダンベルを持ち上げているナオくんに問いかけた。

リビングの扉を開けると、正面の壁側に筋トレグッズが置いてあって、ナオくんは時間を見つけてはそれで鍛えている。


キッチンから顔を覗かせずに聞いたから彼がこちらを見たかどうかはわかんないけど、たぶん一瞥もせずに答えたんだろうな。



「いい加減、何の仕事してるか教えてよー」


「嫌だっつってんだろ。下手なこと言えなくなる」


「下手なこと言えなくなる職業とか、想像もつかないんですけど」



一緒に暮らし始めて1週間と少し。

だけど、ナオくんが家にいたのはその半分だけだ。


朝、ラフな格好でフラッと出て行ったと思ったら、次の日まで帰ってこない。

どうやら日中に帰ってきているようで、学校に行っている私とはいつもすれ違う形だ。


帰ってきた日は1日中家にいて、こんなふうに筋トレしたりランニングに行ったりしてまた帰ってくる。
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