初恋をもう一度。【完】
……いや、でもさすがに羽を伸ばしたくもなる。

せっかくもらったサッカー推薦を蹴ってまで医学部を受験しといて、絶対に落ちるわけにはいかなかったから。

すごいプレッシャーだった。

医者を目指したきっかけは、子供っぽい憧れ。

たまたま読んだ医療系のマンガに、めちゃくちゃ感動しただけだ。

だから、サッカー推薦をもらった時は、正直かなり心が揺れた。

揺れたけど医者の道を選んだのは、ただの現実的な判断だ。

将来サッカーで飯が食える確率と、医学部に受かって勉強して国家試験にも受かって、ちゃんと医者になれる確率。

まあ、考えるまでもない。

それに、医学部に進んだってサッカーはできる。

てわけで、俺は公立医学部の一般受験を選んだ。

まあ死ぬほど勉強して、なんとか無事合格して、3日後には横浜で一人暮らしを始める。

でも、その引越しの準備が、全くできてない。
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