無愛想な王子は理想の花嫁に求婚する
嫉妬、恋心、闘争心
ティアナが王宮に来た日、宰相から使用人全員に言い渡されたのが“ティアナに不自由させることなく、王宮を気に入ってもらうこと”だった。

聞けば、アレクシスの無茶な条件を見事クリアした類い稀な女性で、暫くは婚約者候補として王宮に滞在してもらう予定になっているとか。

正直、アレクシスの婚約者選びには王宮の全員が辟易していた。

毎日押しかけてくる貴族、きつい香水の匂い、もとの顔などわからない厚く塗った化粧、ごてごてしたドレス、目に痛いほどキラキラ至るところに身につけた装飾品、身分の低い者に対しての横暴な態度、口調、なのに位の高い者やアレクシスに会った時にコロッと変わる明らかに地位目的の媚び方……そのような女性ばかりではたして心から仕えたいと思うだろうか?

アレクシスと同じで、全員がそんな女性と正反対な婚約者を望んでいた。
それを宰相が疲労困憊になりながらも与えられた休暇先で奇跡的に見つけてきたのがティアナだという。

全員の思いが一致した。
本当にそのような女性なら、必ず王宮を気に入ってもらい候補などではなく婚約者になってもらおうと。
全ては王宮と自分達の平和のために。
宰相の言葉に全員の気持ちが一つになった瞬間だった。
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