溺れろ、乱れろ、そして欲しがれ
新見さんだって、九条さんの助手で大変なのに。

九条さんはまだ弁護士に成り立てで、ベテラン助手の新見さんが常に一緒。

でも、梶谷さんは正社員じゃないからこれ以上仕事増やせないし、仕方ないか。

もう一人助手がいればなー。

私が入って間もなく棚橋さんの助手が辞めてしまい、不慣れな私が棚橋さんに教えられながら、助手についたわけだけど、、、。

まだたまだ一年目のペーペーだから、自信よりもはるかに不安が大きい。

「楢岡さん、大丈夫?無理そうなら俺が引き受けるけど?」


新見さんが私の顔を覗き込む。

「やります。」

「そ?しんどい時はちゃんと言ってね。無理は絶対ダメだよ?わかった?」

「はい。わかりました。」

「なんか、新見ってお父さんみたいだな」

棚橋さんがおかしそうに笑った。

確かに。いつも私のこと心配してくれる。

お父さんっていうには若いから年の離れたお兄ちゃんか。

一回り違うしね。

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