トリップしたら国王の軍師に任命されました。

「そうか。あんなに美しいドレス姿の軍師は、世界中探してもお前だけだろうな」

「またまたあ。口がうまいんだからあ」

 笑った明日香を、ジェイルのアクアマリンの瞳がとらえた。そこに明日香が映るのが見える。まるで海の中にいるように。

「じゃあ、これからも末永くよろしく。俺の王妃で軍師のアスカ」

「うん」

 明日香が頷くと、「では早速」と言わんばかりの勢いで、ジェイルが覆いかぶさってきた。

「あ、あのう、ちょ……」

 ジェイルの下になった明日香は恥ずかしさで顔を隠す。

「もう待てない。どれだけ待ったと思っているんだ」

 プロポーズされてから、もう何か月も経っている。明日香はジェイルがそれだけ自分を望んでくれていたとわかると、嬉しくなった。

 抵抗をやめると、ジェイルの手の動きも優しくゆっくりになる。深いキスをしながら明日香の夜着のリボンをほどき、あらわになった胸に唇を寄せた。

 ジェイルの体温に、いつしか明日香の不安も緊張も、砂糖のように甘く溶かされていた。

< 101 / 188 >

この作品をシェア

pagetop