狼を甘くするためのレシピ〜*
３．田舎者inTOKYO
　蘭々はプライベートでもタクシーを利用することが多かった。

　でも、いつまでも贅沢はしていられない。
　今は自宅から店『コルヌイエ』まで、自転車を利用するか歩いて通うことにしている。徒歩で三十分は、運動にもなるのでちょうどよかった。

　今朝は時間に余裕があるので歩いていくことにした。

　途中、信号待ちの間にちらりとショーウィンドウに目をやって、自分の姿を確認する。

　サイドの髪を耳にかけて、前髪を下したショートヘア。
　かけている丸いサングラスには薄くブルーグレーの色がついている。

　チークは一切入れず、口紅の色も薄い。
　眉を整えた以外は、ほぼ、すっぴんに近いメイクだが、揺れるピアスは可愛らしい。

　スキニ―パンツに、上に羽織ったのはざっくりとしたカーディガン。
　流行には囚われないが、それなりに個性を主張した中性的な女がガラスに映っている。
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