グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
第2章 2人の母親

「とりあえず、今回は私はいったん帰ります・・・」

「え? どうして? お母さんがなくなるのは、もう嫌だよ」


 パティーナがシルビアの袖を引っ張って言った。
 
 その表情は、今にも泣きだしそうな目をしている・・・。

「ごめんなさい、パティーナ。証拠が全て揃わないと、貴女を連れてはいけません。貴女は、グリーンピアトの皇女様です。中途半端で連れて行っては、国の一大事になってしまいますから」

 優しく宥めるように、シルビアはパティーナに言った。

「じゃあ、今度はいつ来てくれるの? 」

「そうですね・・・。では、5日後はどうでしょうか? 国王様」

 そっと、ティミスを見るシルビア。

「5日後。特に構わないが、それで全ての証拠がそろうのか? 」

 とても冷静な目で答えるティミスに、シルビアはゆっくり頷いた。

「はい、親子鑑定は既に依頼しておりますので、明日にでも結果が出るかと思われます。後は私の持っている母子手帳を一緒に、持って参ります。・・・それで、よろしでしょうか? ・・・ディアンナ様・・・」

 フイッと、見つめられ、ディアンナはドキっとした。

「い、いいわよ。私も、証拠を用意して待っているわ」

 強気を装い、ディアンナは答えた。

 だが、内心はかなり動揺しているようだ。

「では、ディアンナ様のご了承も得られましたので、私はこれで失礼いたします」

 丁寧なお辞儀をして、シルビアは客間を出て行った。

「あ・・・。待って! 」

 マロンディスはシルビアを追いかけた。
 
 その後を、パティーナも追った。


「全く・・・。何なのよ、あの女・・・」

 口では強気なことを吐くディアンナだが、目はかなり動揺している。

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