グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
第4章 複雑な血筋よりも・・・

 しばらくして。

 シルビアが目を覚ましたのは夕方になる頃だった。

 ベッドで寝ていることに驚いて、シルビアは飛び起きた。

「あ、まだ寝てていいのよ」

 傍にいたジュリアルが声をかけると、申し訳なさそうにシルビアは頭を下げた。

「申し訳ございません・・・うっかり寝てしまって・・・」

「いいのよ、疲れていたんでしょう? 随分遠くから来てくれたんだもの。それに、安心したんじゃない? パティーナの顔も見れたし、何よりマロンディスに会えたんだもん。魂も喜んでいるわ」

 魂も喜んでいる・・・
 
 そう言われて、シルビアはそっと自分の胸に手を当てた。

「どうしたの? どこか苦しいの? 」

 心配して尋ねるジュリアルに、シルビアはそっと首を振った。

「いいえ。ずっと、ここが苦しかったのです。・・・でも今は、とっても軽くて不思議な気持ちです」

「魂が解放されて喜んでいるのよ。本当に、愛する人にまた会うことができたんだもの」


 本当に愛している人・・・。

 そう言われると、シルビアは胸が熱くなるのを感じた。

「今日は、パティーナもだけど。マロンディスと、ちゃんと話したほうが良いと思うわ」

「・・・本当に良いのでしょうか? ・・・大切なグリーンピアトの皇子様の事、私なんかが好きなって・・・許されるのでしょうか? 」

 不安がいっぱいの目で、シルビアはジュリアルを見つめた。

 綺麗な赤い瞳が揺れているのを見ると、ジュリアルも胸がキュンとなる。
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