夏のソラの雪
屋上の少女
蹴り上げた右足から放たれたサッカーボールが、ゴールポストの上を緩く通過していく。




「愛与(めぐと)っ!! 顔洗って出直して来いっ!!」




それをぼんやり見上げてた俺の背中にコーチの怒声が響いた。




……ウゼェな。




休憩の合図と同時に、ベンチに置いてあったタオルを掴んで部室に向かう。




大会前だか何だかでピリピリした緊張感が部活内に流れてるわけだけど……、




俺的にはどうでもいいんだよなぁ、そんなの。




人よりちょっと才能ってヤツに恵まれてるからやってるだけ。




だから、




わざわざ汗かいて練習なんかに出るのはバカらしい。




ストレス解消に体動かすなら、




女とヤる方が何倍も良い。




サッカー部の肩書き。
ちょっと長めな茶髪。
女ウケの良い顔。





黙ってたって尻軽な女が物欲しそうな顔して寄ってくる。





特定の誰かが欲しいワケじゃない。




「今日は誰とすっかなぁ~」





素早く制服に着替えた俺は、





ケイタイのメモリーからグループ分けした『セフレ』の欄を出し、適当な番号を選んで通話ボタンを押した。
< 1 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop