夏のソラの雪
変わる雲行き
放課後になっても鬱陶しい雨は止まず、




自主トレに向かう運動部員たちを見送りながら、鞄を手に取った。




「愛与っ。一応、自主トレあるからって……どうせ行かないか」




練習用のユニフォームを入れた手提げ片手に声をかけてきた泰希は、




すっかり帰り支度を整えた俺に軽く笑った。




「知ってたら行ったのに」




っつーか、行かされてただろな。
真雪に。



「はいはいっ」



なんて簡単に流してしまう泰希の声を聞きながらそんなことを思う。




「愛与っ」




並んで立っていた俺の背中に、




弾んだ声と足音が近付いてきた。




嬉しそうに俺に駆け寄ってきた真雪が、




俺たちの手前でピタリと止まった。




見たことも無いくらい表情を強ばらせた真雪を、




訝しんで見つめる俺の耳に、




「泰希……」


「……真雪」




似つかわしくない程ピリッとした空気をまとった、二人の声が響いた。
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