夏のソラの雪
裏切り
あの後、何も言わずに泰希と別れた。




……頭の中が酷く濁っている。




『話したいことがあるの。……待ち合わせしてくれる?』




小雨混じりの帰り道を歩いてた俺に、真雪からのメールが届いた。





差出人の欄に表示された真雪の名前をじっと見つめる。




さっき、瞬きも忘れたかのように泰希を見つめていた瞳を思い出して、




反射的に携帯を閉じた。




アスファルトに出来た水たまりを無視して、ただ真っ直ぐ歩いていく。




話したいことってなんだよ……。




イライラのせいか、ずぶ濡れの足がやたら早く動いてる。
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