冷徹騎士団長の淑女教育
第二章 芽生えた恋心
それからというもの、アイヴァンの期待に応えられるよう、クレアは勉学に励んだ。

アイヴァンの厳しさは相変わらずだったが、もう怖いとは思わなかった。アイヴァンが来る夕方が待ち遠しくて、寒さの厳しい中玄関前で待ち続け、風邪をひいてひどく怒られたこともあった。

読み書き、外国語、歴史、地理、テーブルマナーにダンスレッスンそして護身術。

アイヴァンは、家庭教師に頼ることなく全てを一人でクレアに教え込んだ。公爵家の嫡男として生まれ教育を受けてきたアイヴァンは、あらゆることに長けており、家庭教師を雇う必要もなかったのだろう。

アイヴァンの執拗な教育とクレアの努力のおかげで、クレアがアイヴァンのもとに来て一年が経った頃には、彼女は同じ年頃の少女たちと比べても勝るほどの教養を身に着けていた。
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