キミガ ウソヲ ツイタ
本当の誕生日は……
沈んだ気持ちで過ごした夏期休暇が明けても、葉月とは相変わらずただの同期のままで、どんなに好きでも俺は葉月の眼中にはないんだなと落ち込む日が続いた。

それでも葉月にはカッコ悪いところを見せたくなくて、仕事だけはなんとか自分を奮い起たせて頑張ったけれど、一度へし折られた恋心はそう簡単に立ち直れない。

こんな状態でヘタに告白なんかしてフラれたら、せっかくここまで築き上げた同僚としての関係まで揺るぎかねないだろう。

葉月に好きになってもらうには、ただの同僚ではなく男としての俺の存在を認めてもらうしかない。

そのためにはもっともっと頑張らなければ。

俺は自分にそう言い聞かせ、以前にも増して仕事に精をだし、少しでも葉月と接する機会を増やすために食事や飲み会をしようと、懲りずに声を掛け続けた。

そんなひそかな努力を続けているうちに、あっという間に入社3年目に突入してしまった。

その頃には葉月ともたまには二人だけで食事に行けるくらいは仲良くなれていたけれど、このままずっと“ちょっと仲の良い同僚”と呼べる程度のポジションでいいのかと焦り始めた。

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