Beast Love

遊園地パニック

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「ついに来たーっ! 万華鏡がモチーフになっている遊園地、その名も『kaleidoscope〜カレイドスコープ〜』!」


いっちゃんのテンションMAXの声と共に私たちが入場したのは、市内にある人気テーマパークだ。


六角形をしたゾーンが6つ、上から見ると花びらのような形で建築されている。


”恋と香りとピンク”がテーマの、嗅覚で楽しむ『クンツァイトゾーン』


”祭りと音と黄色”がテーマの、聴覚で楽しむ『シトリンゾーン』


”デザインと錯覚と橙”がテーマの、視覚で楽しむ『トパーズゾーン』



”花と料理と緑”がテーマの、味覚で楽しむ『エメラルドゾーン』


”生物と水と青”がテーマの、触感で楽しむ『サファイアゾーン』


”恐怖と運と紫”がテーマの、直感で楽しむ『アメジストゾーン』


パーク中央には、万華鏡遊園地『カレイドスコープ』の象徴とも言える、万華鏡の形をした城が聳え立っている。


絶叫マシンに3Dアトラクション、参加型のパレードショーに可愛いライドマシンまで、老若男女問わず楽しめることで人気の遊園地である。


「……って、パンフレットに書いてあるよ。おお、六角形をした6つのゾーンにはそれぞれ、”人の第六感”までが楽しめる工夫がされてるんだって」

パンフレット片手にA型特有の説明書に目を通す几帳面さを見せている私に、白虎町くんがグッと拳を握った。


「やばーっ! テンション上がってきたわぁ」
「お前はホント単純だな」

マサトが溜め息を吐きながら、みんなの分のチケットをまとめて購入してくれた。


「なんやかんや言うて、マサトもわくわくしてるんやろ?」
「まあな」

男子同士、軽口を楽しむマサトの姿はちょっと新鮮だ。


(昨日、今日でまだ、意地悪な部分しか見てないからかな……)


変に高鳴る胸を抑えながら、私はチケット代をマサトに手渡した。
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