Liebe

「……そうか」

「そうです」

「……」

ふと考えるかのように視線を落とす。
そしてゆっくりとエリーを見た。

「じゃあ、一緒に行こう」

「いいんですか!?」

「……あぁ」

エリーが嬉しそうに小さく飛び跳ねる。
その様子がおかしかったのか、ウィリアムは再び口元を緩ませ珈琲を口に運んだ。

「ありがとうございます。嬉しいです」

本当に嬉しそうにエリーは笑う。

お祭りに行ける。
ウィリアムと行ける。
もっと仲良くなれる。

エリーは本当に嬉しそうだ。


部屋に戻ると、エリーはひたすらリヒトに祭りのことを話していた。

「火炎の陣ってどんなお祭りなのかな。やっぱりちょっと戦ったりするのかな。でもお祭りって言ってるから皆で踊ったり美味しいもの食べたり知らない人と話せたりするのかな。ねぇ、リヒト、どう思う?」

傍から見たらただの独り言だ。

しかしベッドで座っているリヒトはちゃんとうんうんと相槌を打っている。話を聞いているかはともかく。

エリーは本当に楽しそうだ。
街にも慣れ、知り合いも増え、同居しているウィリアムとの絆も深まっている。と、思っている。

最初の心細さはもう感じていない。
リヒトといつも一緒にいるからというのもあるだろう。

エリーはリヒトに笑いかける。
リヒトはきょとんとして首を傾げる。

エリーはにこにこしながら、祭りのことを考えた。

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