恋は、秘密主義につき。
1-3
翌日の日曜日。ママは朝からカルチャー教室で出かけ、パパは帰りが遅かったらしく未だ寝室で冬眠中。

愁兄さまとの待ち合わせは、11時に駅のロータリー。家まで迎えに来てくれると言ったのをお断りしたのは、ママが喜びすぎて兄さまを離さないだろうと思ったから。年甲斐もなくイケメン好きで、困りものです。

出かけてしまったからどっちでも良かったけれど、運動不足の解消もかねて、家から徒歩5分のバス停から駅行きに乗車した。渋滞が無ければ15分ほど。

兄さまに会うのは、お正月の新年会以来。頑張って顔の筋肉を引き締めておかないと、だらしなく崩壊しそう。
ほどほど混雑しているバスの吊革に掴まり、ともすれば緩みそうになる口許をハンカチで隠して俯いた。

バルーン袖の丸首ブラウスに、タイトめのスカート。少しでも可愛く見られたくて、パンプスもお気に入りのを履いてきた。
髪は、会うたびに『綺麗だね』って褒めてくれるから、そのまま下ろして。

昨日の征士君とのデートが霞んでしまうほど、心が浮き立っているのを気付いてもいない自分がいた。
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