legal office(法律事務所)に恋の罠

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翌日、和奏は約束通り、Hotel Blooming 東京の執務室を訪ねてエントランスホールに降り立った。

秘書兼ボディガードの湊介も同行している。

「桜坂CEOと11時にお約束をしております。山崎弁護士事務所の夢谷と山崎と申します」

レセプションのホテルマンに和奏は名刺を差し出し用件を伝える。

「伺っております。どうぞこちらへ、ご案内致します」

40代と思われるホテルマンの笑顔は完璧で、サービスも問題ない。

和奏と湊介をエレベーターで2階のCEO室に案内すると、丁寧にお辞儀をして退室していった。

「お待ちしておりました。どうぞお掛けください」

桜坂奏は二人を奥の応接室に案内すると、ソファに腰かけるように促した。

「失礼します」

二人が腰を下ろすのを確認すると、奏は受話器を取り秘書に電話を掛けた。

「夢谷弁護士と山崎さんがお見えだ」

用件を伝えると、奏はゆっくりと対面のソファに腰かけた。

「今日はお忙しいところ、ご足労頂きありがとうございます。今、妹も呼んでおりますのでしばらくお待ちいただけますか?」

「ええ、予定通りのスケジュールですので、何も問題はございません。こちらをどうぞ」

和奏が差し出した資料を奏が受けとる。

その時、ほんの少し手と手が触れた。

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