レンダー・ユアセルフ

/コターニャ侯爵






アリアナが散々受けさせられた講習の成果を発揮する機会は、そう遠くない日和に訪れた。





ちゅんちゅんと外では小鳥の囀る声が麗らかな光景を思い起こさせるようだ。

そんな中、アリアナはと言うと。十重二十重《とえはたえ》と見物人が波になって囲う、まさに中心に身を置かざるを得ない状況だったのだ。




チューリア国内、及び近隣諸国津々浦々から集うに至った、自尊心高き貴族たちがまるで観察するかのごとくアリアナを見つめていた。

そして彼女の隣に至極当然といった面持ちで立ちながら、その華奢な肩を抱く金髪の青年。









「ジーファ王子、アリアナ王女。このたびはお二人の婚約パーティにお招きいただき、光栄至極に存じます」









わらわらと身を寄せる貴族の中で特に恰幅のいい中年男性が、進み出て一礼しそう告げる。





矯めつ眇めつアリアナを舐めるように見定める双眸は、彼女の中に嫌悪感を生み出した。

しかしながらここで表情を崩すようでは、一国の王女として立ってはいけまい。





挨拶をした男性はユースヒトリの重鎮の一人と聞く。それは他でもない、例の地獄の講習より得ることのできた知識だった。

だからこそ相手の思惑も少しは感じ取れる、というもの。

このときばかりは多少とも、両親や姉に感謝したくなるアリアナであった。




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