~一条なおside~

幸せな日常が崩れさる音が聞こえたような気がした。

それは秋も深まり年の瀬も近づいてきた頃のことだった。

突然訪ねてきたその訪問者はたしかに婚約者と名乗った。

「久遠は只今会議中でございますが、どういったご用件でしょうか?」

「あら、そう。残念。」

「失礼ですがあなた様のお名前を頂戴できますでしょうか?
会議が終わりましたら、久遠に伝えますので。」

サラサラの漆黒の黒髪は腰まである。
古風なその顔立ちは美しい市松人形のようだった。

歳の頃は20歳といったところか?
まだ学生のようにも見えた。

「婚約者の百合園瑠璃子《ゆりぞのるりこ》が会いに来たと伝えてちょうだい。
また来ますからって。」

え? こ、婚約者・・・って?
ウソ・・・?