オレ様御曹司 と 極上KISS
「KNグループの社長の息子だよ。
わたしたちと同い年のね。
ロサンゼルスの支社にいたんだけど、今度KN商事の専務になって戻ってくるんだよ。来月から。」

春は人事異動の季節だ。

春になるたびに毎年、今年こそ英語の活かせる部署に行けるかなぁと期待をしては撃沈して5年。
もう最近では人事異動にあまり興味もなくなっていた。

人事課の佳那にはもういち早く人事異動の情報が入る。
内緒ってことはまだ公には発表できない話ってことだ。

「ふうん。それが?」

「だからさぁ。イケメンなんだって。超がつくほど。
それに藤南大の経営学部卒の超エリートで、仕事できるってこれ以上のことってある?」

「はぁ・・・。
まさか、歯医者から乗り換えようってしてんの?」

「いやいや。雲の上の人すぎてそこまで思ってるわけないじゃん。
けど、興味はあるよねぇ~・・・。」

佳那が遠くの方を見て言っているのを見ると、なんかやっぱりほんとに狙ってるんじゃないかって思えてきた。

ありえる。佳那なら十分。
それにかわいいからいけないこともないだろし・・・。

「まぁわたしは興味ないからいい。」

わたしたちは食堂でから揚げ定食を注文し、席についた。

「だろうね・・・。
そういえばどうなってんの?恭介《きょうすけ》さんとは。」
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