【完】さつきあめ〜2nd〜

その場所には様々な人がいて、沢山の想いが溢れていた。
色々な理由でこの場所に立つ人がいて、それは沢山の人たちからのの称賛だったり、自分自身のプライドだったり、ただ物理的な金銭面だけだったり、たったひとりからの愛情だったりもした。沢山の人々の感情が行き交う世界の中で誰もが孤独だったし、誰もが誰かから愛されていた。

2か月後

年が明けて、日々はあっという間に過ぎ去っていった。
こんなにも時間が流れるのが早いのか、と言った感じで、わたしが立ち止まっている間に、あっという間に月日は流れて行った。
まだ深い冷たさが残る2月の終わり、けれど、温かくなる日も多くて、春の足音が近くなるのを感じるように、空気が変わっていくのを肌で感じていた。3月になったら、また春が来る。1年があっという間にめぐって、わたしは20歳になる。

「涼ー!!」

久しぶりの再会に、彼は眉をひそめて、いつもの仏頂面をわたしへ向けた。
哀れに思われるのもなんか違うし、同情するように気を使われたくもなかった。
予想通り涼は久しぶりに会っても、昨日会っていたかのようにいつものように現れて、わたしへ不機嫌な顔を向ける。そんな涼に少しだけ安心した。

涼なら、自分勝手なわたしをきちんと責めてくれるだろう。

「なんだ、お前」

「へへ、久しぶり。…何か、ごめん…」

「いや、俺に謝るのってなんか違うと思うけど?」

正しい事を判断出来て、間違った事を指摘してくれる。
涼って出会った時からそういう人だったと思う。

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