私たちの六年目
Encounter



「江坂、元気になって良かったな」


「菜穂先輩、退院おめでとうございます」


久しぶりに会社に行くと、職場のみんなに盛大に迎えられた。


なんだか少し恥ずかしい……。


「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした」


「いいんだよ。全然迷惑なんかかかってないんだから」


課長にそう言われて、胸が熱くなった。


クリニックで入院と言われた時はものすごく焦ったけど。


点滴治療でみるみる数値が正常になって、思ったより早く退院することが出来た。


「菜穂さん」


誰かにトントンと肩を叩かれて振り返ると、笑顔の崎田君が私のすぐ後ろに立っていた。


「退院おめでとうございます」


「崎田君、入院中はありがとね。色々とお世話になりました」


私はペコリと頭を下げた。


今回のことで、崎田君には何から何までお世話になってしまった。


「いえ、僕よりアキ先輩の方がお世話していたでしょう?」


「もちろんアキにもお世話になったけど、崎田君にも沢山助けられたよ。

本当にありがとね」


あのまま無理して仕事を続けていたら、それこそ取り返しのつかないことになっていたかもしれないから。


「じゃあ、菜穂さん。

そんな僕にお礼をしてくれませんか?」
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