私たちの六年目
離れられない
秀哉の会社の近くの駅から電車に乗ると、私達は私が住む町へと移動した。


夕飯がまだだった私のために、秀哉はファミレスに付き合ってくれて。


私が食事をしている間、梨華とのことを少しずつ話してくれた。


正直言って驚いた。


梨華と付き合い始めてからの秀哉は、全くと言っていいほど幸せを感じていなかった。


○□ホテルで偶然会った時、どうして秀哉が私と逃げようとしたのか。


あの時はわからなかったけど、まさか梨華のお父さんにひどく責められていたなんて……。


しかも、そのことに関して梨華からは何のフォローもなく。


秀哉の気持ちは置き去りのまま、梨華は秀哉に依存して会社を辞めて、結婚の準備だけをやたらと急いでいるのだとか。


そんな梨華に、秀哉は愛情を感じられなくなって、結婚を辞めようと言った。


だけど、梨華はそれに猛反対。


秀哉がプロポーズさえしなければ、自分は赤ちゃんを産む決心などしていない。


もう両親に会わせているのだし、今さらそれを取り消すのは許さない。


秀哉にはプロポーズした責任と、梨華と赤ちゃんを養う義務があると梨華はそう主張しているらしい。


ハッキリ言って、めちゃくちゃだと思った。
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