私たちの六年目
決戦
それから二日後。


覚悟を決めた私は、午後から半休を取って梨華のいる産婦人科医院へと足を運んだ。


梨華が入院してからというもの、梨華の身の回りのことは全て秀哉がしていた。


入院に必要なものは私が用意したけれど、全部秀哉に運んでもらっていた。


それは正直、良い気分ではなかった。


愛する人が、自分の罪悪感から他の女性のお世話をしているのだから。


でも、それも今日で終わりにする。


私は意を決して、個室のドアをノックした。


「どうぞ」


中から聞こえる梨華の声。


私はゆっくりとドアを開けた。


「菜穂……」


驚いたように目を見開く梨華。


私はゆっくりと近づいて行って、ベッド横の丸椅子に腰を下ろした。


「久しぶりだね、梨華……」


あの悲しい出来事があって以来、梨華とは全く会わなかったから。


本当に久しぶりだ。


もともと細いのに、さらに痩せた気がする。


ノーメイクの梨華はなんだかひどく儚げで。


そんな彼女と戦うのは、正直気が引けるけど。


それでも言わなくちゃ。


そうすることが、私の正義だと思うから……。
< 236 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop