恋の宝石ずっと輝かせて2
「先輩、ここ見て下さい。ここに巻貝のような模様がついているんですけど、これもしかしたら化石かも」

「あっ、ほんとだ、すごい。もしかしてアンモナイト?」

「かもしれませんね。化石なんかもたまに見つけられるから、益々集めるのが止められなくなります」

「他にもまだ化石見つけたの?」

「はい」

 瞳が部屋の真ん中に箱を引きずって仁に見せ、箱の中から石を取り出して畳の上に並べ出した。

 仁も膝を突いてそれらを覗き込み、手にとって模様がついているのを確かめた。

 夏の暑さもあったが、仁の体は火照り、コメカミ辺りで血がドクンドクンと流れて行くのが感じられる。

 瞳と密室ともいえる部屋で一緒にいるせいなのか、または急激なストレスが体の調子を狂わせたのか、仁は石を手に取りながらまだ他に原因があるのか考えてみた。

 そしてもう一つ思い当たったのは、さっき飲んだ手作り冷やし飴だった。

 あの飲み物に何か特別なものが入っていて、まさか軽くアレルギー反応でも起こしたのだろうか。

 とにかく気分が優れない。特にこの部屋に入ってからそれは酷く感じていた。

 それでも仁は平常心を装おうと、瞳に合わせる。

「あっ、そうだ」

 その時、瞳は思い出して立ち上がると、机の引き出しを開け、中から何かを取り出した。

「先輩、これ見て下さい。私の一番のお気に入りなんです。形がハートみたいでかわいいでしょ」

 それは掌の中にすっぽり納まるくらいの大きさをしており、表面がつるっとした白っぽい感じの石で、見事なハート型をしていた。

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