恋の宝石ずっと輝かせて2
「花梨が赤石を持っている以上、うまく事件と絡ませて花梨に罪が掛からないようにしようと、真相を誰よりも早く知る必要があったんじゃ。祠を壊した犯人が本当にカジビなら、何もかもカジビのせいにできるかもしれないと思ってしまった。だから一刻も早く自分の手でカジビを見つけたかった。そうすればどさくさに紛れて赤石を彼に忍ばせる事ができると思った。その手伝いを頼めるのに最も都合のいい存在があんたらじゃった。それと実はもう一つ理由がある。トイラを人間にすることも考えていたんじゃ。そうすればトイラはユキと自然にくっついて、仁はユキのことを完全に諦められるんじゃないかと思ってのう。そうなれば孫の瞳のことを考えてくれるかもしれない。つい孫を思うがあまりの思いと、花梨が男児を産めないことへの婿取りの予防線もはってしまった」

 この事件の真相に、仁もユキも呆れ返ってしまった。

 やはり身勝手だったとセキ爺は深く反省して、その場で土下座をした。

「あんたたちを巻き込んでしまって本当にすまないと思っておる。申し訳ない」

 花梨も隣に座って一緒になって頭を下げていた。

 二人から土下座されると仁もユキももう何も言えなくなっていた。

 その間にキイトは花梨に近づき、素早く赤石を奪った。

 風呂敷を取り除き、陽に照らされる真っ赤な輝きを悲哀に見つめ、目を潤わせていた。

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