それが答え〜やっぱり一緒に・・・〜
初めて参加した飲み会は賑やかだった。


「仕事に熱中してたら、ある日突然、嫁さんが子供連れて、出て行っちまって。この商売やってると土日なかなか休めなくて、子供の運動会なんかも、ほとんど行ってやれなくて。そんな旦那や親父じゃ要らないって、ことになったんじゃないの?」


酒の勢いで、なんで離婚したんだと他のパートさんに聞かれて、悪びれもせず、大声でそう話す店長の言葉が耳に入って、なんだか切ない気持ちになった。


それから店長とは、親しく売場で話をする機会はあったが、それはあくまで仕事の話だし、特別私だけに声を掛けてくるわけではない。


ただ、私のことは、優秀な部下だと、評価してくれているのは、伝わって来た。それが嬉しくて、私の方も店長への尊敬の念を深めて行った。


そんなある日のことだった。休日だった私は、夕飯の買い物がてら、ショッピングに出掛けた。店内をぶらついていると


「西野さん。」


と声を掛けられた。


「店長。」


なんと内藤店長で、聞けば、店長も休日で、ここにやって来たのだそうだ。


「休日って言ってもやることなくてね。別に給料出なくても、会社に行ってた方が、よっぽどいいんだけど、服務規程違反だって、組合が煩いからなぁ。」


そう苦笑いする店長とお茶でもしようという話になって、私達は店に入った。


考えてみれば、夫以外の男性と、こんな風に2人で話をするなんて、この歳になって、初めての経験。内心ドキドキしながらのひとときは、でも打ち解けた雰囲気になって、とても楽しかった。
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