【完】付き合えよ




「昼だ!ご飯だ!さぁ行くぞ!」


バカ一人。


「待てこら食いしん坊。」


「なんだよー。」


心底気だるそうに言う。


「次は体育だろ。

服は持ったか?」


「ああ!忘れてた!サンキュ!」


満面の笑みを俺に向ける。


「ったく、ほんとにお前は世話がやけr((」


言うが遅いか、俺は担がれた。


「さぁ行くぞー!」


「ギャー!降ろせー!」


俺はミニアトラクション(尚、安全は保証されない)をしばらくプレイした。











いつのも場所に着くや否や、


こいつは俺を降ろし早速飯を食べ始めた。


「お前なぁ、担いで走るのやめろっていつも言ってんだろうが。」


「ほう!ほうふぁっふぁほ!ふふぁん!」


絶対次もするな、こいつ。

そう思いながらも、俺も飯を食べ始める。











美味しかった。


「美味かったー!」


「ご馳走様でした。」


「ごちそうさん!」


俺のあとについて言う。


「よし!食べ終わったし、行くか!」


「ん?今日なんかあったか?」


「手紙もらった!」


嬉しそうに笑う。


「あっそう。」


あーあ、いいな、女の子は。

俺も、女の子だったら…、


「お?俺が取られて拗ねたか?ん?」


俺が素っ気ない返事をしたのを、

拗ねたと思ったらしい。


「ぶっ飛ばすぞ、早く行け!」


まぁ、当たりだけど。


「おー怖や怖や」


こちらをチラチラ振り向きながら消えていった。


「…はぁ。


片思いは辛いな。」


そうボソッと言いながら俺は更衣室に向かった。











俺は着替えを済ませ体育館に一人いる。


あのバカはまだか。


もしかして、告白OKしたから…?


い、いやいや!あいつ、飯と運動以外頭にねーし!


うん。そんな訳ない。ない。


…と思われる。







…ぁぁぁああ!あいつ帰ってきたらしばこ!



「一人で百面相してどした。」


「あ、蒼!」


「おう。で、なんかあったか?」


蒼はいつも俺を心配してくれる、

こんないい友達もって、有難いねぇ〜


「いや、なんでもねぇよ!」


「そうか?ならいいけど。

なんかあったら俺に言えよ。」


蒼は俺の頭を撫でる。


「おう!ありがとな!」


「おーい!そこの二人!ちょっと手伝ってくれるか!」


体育館の外から先生の声がする。


「先生?どしたの?」


俺達は近寄りながら聞く。


「おお、あのな。

このいっぱいあるロッカーあんだろ?

これをな、あっちに持って行って欲しいんだよ。」


「えー、凄い重労働じゃないっすかー。」


そう言うと思ってな。

と言いながら先生は小声で続けた。


「体育出なくても出席やるし、

それにアイスも奢る。

な?これで、どうだ?

すぐ終わったらそのまま休めるぞ?」


「おー、なかなかに魅力的。蒼、やるか?」


「やる!アイス!」


「よし、じゃあここは任せた!よろしくな!」


そう言いながら先生は体育館に入っていった。


「蒼、さっさと終わらせて休むぞ!」


「おう!」


俺達は一心不乱にロッカーを運んだ。


そして、最後の一個。


「これでおーわりっと!

アイスが待ち遠しいな!」


蒼がウキウキして言う。


「ああ、そうだな。

それにしても結構早く終わったな。

やっぱ二人だと早いな。」


「だな!

あ、そだ、もうこれで体育終わりならさ、

次まで時間あるし日陰で休もうぜ!」


「元からそのつもり!よし行こ!」


近くにゆっくりと休めるスペースが見当たらない。

俺達はほかの先生に見つからないように行動し、

いい場所に着いた。


「よし、ここなら十分休めるな。

よぅわぁあ!」


蒼が俺の方を向いた瞬間転ける。

俺はそれを受け止めようとして足を踏み出すも、

俺も滑る。


「「いった!」」


「…」


蒼が俺の頭を手をまわして守ってくれた。


「大丈夫か、蒼。

すまんな、受け止めようとして俺も滑った。」


「お、おう、俺の方こそすまんな…。」


そう言いながら蒼は俺の上から退こうとしない。


この体勢、絶対蒼の方が疲れると思うけど。


どうしたんだろ、どっか痛くて動けねえのかな。


「蒼?大丈夫か?どっか痛いのか?」


蒼が俺の肩に顔を埋めたままだ。


「蒼?」


「ごめん。もうちょっと、ちょっとだけ、このままで。」


「それはいいけど、どっか怪我とかしてるのか?大丈夫か?」


「大丈夫。」


「そうか…。」


俺はそのままの体勢で、

蒼の気が済むまで蒼の頭を撫でて待った。

しばらくすると、


ガバッ!


いきなり俺の肩から顔を出した。


それにしても近いな、鼻が当たりそう。


「蒼、もう大丈夫なのか?」


「…」


応答がない。


しかし、蒼は俺の目を見ている。


なにかよくわからないが、俺も蒼の目を見る。


すると、だんだんと顔が近づいてくる。


あ、あれ?なんか、これ、キスする時みてぇ…。


俺の頭の下には蒼の手があり、


掴まれてる感覚がある。


あれ、これ、やばくない。


そう思っている間にも、


蒼は近づいてくる。


俺はさすがに蒼の肩を手で押す。


すると、少し下がった。


「どした、蒼?」


「俺、俺な…、「おうお前ら!何やってんだ!」


バカが来た。

しかし、いいところに来てくれた!


今の蒼は凄くおかしかったしな。


多分気の迷いだろ。


「ああ、いや、二人して転んじまってな。」


「お、おう。びっくりしたよな。」


蒼が説明して、俺が同意する。


そうしながら俺達は立ち上がる。


「蒼、お前田中に呼ばれてた。」


「え、田中?なんだろ、

ちょっと行ってくる。

じゃ、またな。」


「おお、またなー。」


俺は蒼を見送り、


さて俺らも教室にと歩き出した時、


腕を掴まれた。


そして引っ張られ、

またさっきと同じ体勢になる。


「は、え、なに?」


グイッ


力任せに顔を向かせ、顔を近くする。


すると、目が合い、鼻同士が当たった。


なんだ?!この近さは流行ってるのか?!


「なんだよ、言いたいことあんなら口で言えよ。」


俺はこの近さに耐えられずそう言う。


「蒼は良くて、俺はダメなのか。」


「へ?」


素っ頓狂な質問に思わずアホな声が出る。


「お前、俺の事、好きなんじゃないのかよ。」


「えぇ?」


これまた想像もつかなかったことを言い出した。


なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!


「俺はお前の事、親友だと思ってる!

お前はどうなんだ、

蒼のが親友だと思ってんのか?」


( 'ω')は?


「いやいや、ちょ、まて、なんかおかしい!」


「何がだよ。」


「いや、てか、ちょっと待て、一回落ち着け、な。」


「俺は落ち着いてる。」


「まず離れよう、な。」


俺は肩に手を置き押し返、


そうと思ったが、ビクともしない。


そりゃ、体格差はあるけど、いやマジか。


「あのな、その、」


「お前の、本心が聞きたい。

俺と蒼、どっちの方が好きだ。」


「へ、急だな。う、うーん。

てかさ、好きの種類が違うしな。決めらんねーよ。」


「好きの種類?

はっ!そうか!わかった!

俺のことはもう家族だと思ってるんだな!

なるほど、それなら分かるぞ!」


一人で解決した…。

なんだコイツ。


「なぁ怜。俺、お前のこと大好きだぞ!」


ニコッとバカは笑う。


あぁ、そうか、

この笑顔を見ると、

なんでもどうでも良くなる、

そんな俺も、バカなのかな。


「俺も好きだバーカ。」

お前とは、好きの種類が違うくても、

俺はお前を好きであり続けると思う。

だからこれからは、俺に付き合えよ。






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