気づいたらコイツ拾ってました!?
☆出逢い☆
- キーンコーンカーンコーン -

「はーい!今日の授業はここまで!
みんなしっかり復習しとくように!。」

私の名前は渡辺莉都(りつ)。

今年青葉ヶ咲高校(あおばがさき)に

赴任してきた教員1年目の新人だ。

24歳。ちなみに、国語教師。

-ガラガラガラ-

「おー!りっちゃん!お疲れ様!」

授業を終えて職員室に戻ると、

赤凪麗美(あかなぎれみ)が

私に声を掛けた。

麗美は同期で1番仲のいい友達だ。

麗美は体育の教師をしている。

綺麗な二重の瞳(め)に整った鼻筋

よくショートカットの似合う大人の女性

って感じで生徒からも慕われている。

それに比べて私は…

低身長な故に顔立ちも良くない

生徒からもそれほど慕われていない!!
私からみると麗美は憧れの存在で

目標とする人なのだ。

「ねえねえ!りっちゃん!
今日この後呑みに行かない!?」

久々の麗美からのお誘い。

でも今日はどーーーーーーーしても

見たい番組がある

「ごめん!麗美!!!今日は無理!」

私は顔の前に両手を合わせて精一杯の

謝罪をした。

「ははははは!(笑)りっちゃ~ん!
そんなに謝らなくていいのに~(笑)」

その姿を見た麗美からは大きな笑いが
こぼれた。

次は必ず行くと私は約束し今日は定時で

学校を後にした。

家から学校までは30分だ。

車の免許がない私は毎朝毎晩と電車に揺られ

通勤している。

今日はいつもより時間が早い為か少し

空いていた。

いつもと違う感覚で乗る電車はとても

新鮮に思えた。

駅に着くと今日の夜ご飯は何にしようか

考えて家まで帰るのが私の日課だ。

だがしかし!今日に限って冷蔵庫に何も

無い事を思い出した…。

「まあいいや…
コンビニよって帰ろ…。」

そんな独り言を呟き焼肉弁当とスナック

菓子を買ってコンビニを後にした。

幸い、帰り道には街頭が多く不審者が

出る事はない…のだか………。

「えっ??…」

あと少しで家に着くという所で男が

道端に倒れている!!!!

「ふぁ!?えっ!?ちょ!!!」

私はパニックになりながらも冷静さを

保つよう自分に言い聞かせて男の所へ

駆け寄った。

「あのっ!すみません!!!

どうしましたか!大丈夫ですか!!」

何度聞いても反応がない。

「あの!!!!!」

ほっぺをぺちぺちと叩きながら声をかけ

続ける事約5分、やっと男が目を覚ました。

「……っっっ…。」

何かを訴えている様だ。

「え!?なんて!?聞こえない!」

私は必死に聞き取る。

「…った…は…ら…」

「腹減った!?」

私がそう聞くと男は黙ったまま頷いた。

あとから考えれば普通に警察に通報すれ

ば良かったのだが、パニックになってい

た私には

そんな余裕はなく、易々と男を家の中に

入れてしまった…。

これが悲劇の始まりだったのだ……
家に上がると、私は早速料理を始めた。

生憎、拾った彼の好き嫌いがわからなかった為、私の好きな料理にする事に。

でも一応…念の為…

「ねえ!ちよっと!
嫌いな物とかアレルギーは無いよね?」

そう聞いてみるが彼は死んだように
床に突っ伏していて返事がない。

もう知らない!と思いながらも
初めて男性に作る手料理なだけあって
自然と力が入る。

こんな彼氏でもない見ず知らずの男に
何気合い入れてんだか…

私は自分に呆れながらも
料理を続けた。

「よっしゃ!出来た!!!」

思わず大声で叫んでしまった…

「なにやってんだか…私は…」

そう言いながら彼が居た床を見ると

居ない!!!

さっきまで床で死んだように
突っ伏してたアイツが居ない!!!

何処に行ったのだろうと探そうとした時

ダイニングテーブルからこれでもかと
言わんばかりに目を輝かせたアイツが
座っていた。

「はっ!はっ!はあああああーー?!」

私はビックリしすぎて国語教師なのにも
関わらずそんな言葉しか出せなかった。

大声をあげた私を、彼は、早くくれ!
と言う目で見ている。

「はいはい…今持っていきますよ。」

呆れて物も言えないわ。

私はテーブルにハンバーグと
ポテトサラダ、そして、スープとご飯を
置いた。

「どうぞ。味は保証できないけど。」

私は嫌味の様に言った。

だって!さっきまで腹が減って
床に突っ伏してた奴がご飯が出来た瞬間
テーブルに座って目を輝かせながら
こっちを見てるんだよ!?

本当。嫌な奴。なんなのよ。

すると

「うっっっっまああああーーーー!!!!」

箸を持ちながら彼は私を見て
そう言った。

「本当!?!?!?」

初めて異性に作った料理。

こんな風に言って貰えるなんて
思ってもみなかったから
ちょっと嬉しかった。

けど、なんか複雑…(汗)

「うん!!!本当!!!」

彼は箸を1度も止めることなく
全ての料理を完食した。

「はーー!美味かった!
ご馳走様でした!」

「いえいえ、どういたしまして。
って!なんでなんかちょっと
仲良くなっちゃってんのよ!」

気づくと私達はカップルの様に
一緒に食事をしていた。

「えー?別にいいじゃーん」

口を尖らせながら彼は言う。

「あのねぇ!そもそも、なんで
あんな道端に倒れてたのよ!
風邪でも引いたらどうしてたの!」

「なんか、ねーちゃんみたいだな。」

いやいやいやいや、まてまてまてまて、
なんだその返し方は。

こっちが心配してるってのに
そう言う言い方する?普通。

余計にムカついた。

もう優しくなんか言ってやんない。

「そもそも、道であんたみたいな
若い奴が倒れてて心配しないなんて
私のポリシーに引っかかるし、
死んでるんじゃないかって心配にもなるでしょ!」

「だから俺を心配してご丁寧に
ご馳走まで作ってくれたってわけ?」

「そうですけどなにか!?」

「ねーちゃんやるじゃん」

満面の笑みでそう言ってきた彼に
余計腹が立つ。

なーにがねーちゃんよ!
いつからアンタのねーちゃんになったのよ。

「もう。わかったから。
ご飯食べ終わったなら出てって。」

これまでに無い冷静な態度と声で
彼を玄関まで押し出す。

すると

「え?
俺、今日からここ住むんだけど」

「はああああああ!?!?!?!?」

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