Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
離宮に到着して、シェヴァ王子に迎えられる。

後ろには、フォルティスの姿も見えた。

目が合うと、口角を上げてくれる。

早速庭に着き、テラスに案内された。

超高級ブランドの紅茶が出されて、ケーキタルトが切り分けられる。

両国の食に関わることや、お互いの家族のこと。

話すうちに、いい人だということがどんどん分かった。

妹想いの優しいお兄ちゃんだった。

花の話をしていても、お母様のことをママと呼んでしまって恥ずかしがったり、自慢気な顔をしたり、弟と呼ぶのがぴったりな様子。

「あっちの奥には、噴水があるんですよ。」

案内されて進んでいくと、大きな噴水が花の真ん中にあった。

近づこうとした、その時、

「蜂だ!リリアンヌ嬢、止まって!」

「え?」

体を強ばらせて止まると、大きな丸めの蜂が飛んで来ていた。

「や、やだ!」

「リリ!動くな!」

そう言ってフォルティスが走ってきた。

目にも止まらぬ速さで抱き上げられて、その場を離れる。

フォルティスの後ろをみんなでついてきて、しばらく離れてから安全確認をした。

仲間の1人に囁かれてから、気づいたように私を降ろしてくれた。



「リリアンヌ嬢、1番近くにいたのに、助けられなくてすみませんでした。」

しょんぼりとした顔でシェヴァ王子に謝られる。

「大丈夫です。それに、叫んでくれたではないですか。」

「それにしても、力不足でした。」

そこに、突然フォルティスが入ったきた。

「俺たちは、訓練を積んでいます。

王子たちを助けるためにです。

ここで力を発揮できなかったら、いつするんでしょうか。

それに、、、

彼女を助けるのは俺の役目ですから。」

きっぱりと言い切ったフォルティスに、その場にいる全員がびっくりして彼を見る。

「それは、どういう意味ですか?」

「婚約しているので。」

これまたきっぱりと言い切る。

その瞬間、シェヴァ王子の顔色が暗く淀んだのに、誰も気づくことはできなかった。

「そうだったんですね。

式のご予定はいつなんですか?」

笑顔で尋ねられ、2人で顔を見合わせる。

「まだ、全然決まっていないんです。

この前、ほんの最近に想いが通じ合ったので。」

私が代表して答える。

自分でこんなことを言うのは、恥ずかしい。

しかも、フォルティスの仕事の仲間の前でなんて。

「そうなんですね。

そろそろ、戻りましょう。

蜂がいるとは、思わなかったので、危ないですね。」

「そうですね、戻りましょうか。」

そう言って、それからは何も起きず、お開きとなった。
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