先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
化学は心を溶かす
雨の季節が過ぎると、この国に夏が訪れる。蒸し暑い中、俺は部室のドアを開けた。

「こんにちは〜!」

暑いのは正直嫌だが、ラッキーなこともある。それはーーー。

「こんにちは!大地くん」

星野先輩の夏服を見られること!夏の制服は薄い。薄い服の先輩を見られるなんて、ハァハァ…。

「夏は暑いし、熱中症とか怖いからしばらくは屋内活動かなぁ」

星野先輩がそう言うと、「なら復習したいことがあるんだけど…」と河合先輩が手をあげる。

「透がそう言うってことは、化学関係のことだね」

岩井先輩が顔を輝かす。岩井先輩と河合先輩は、相変わらずラブラブだ。

「元素記号の復習をしたい」

河合先輩の言葉が、俺に嫌な思い出を再生させる。元素記号……物質は原子と呼ばれる小さな粒子でできている。その原子は記号で表されるのだ。

「はい!言えます!」

星野先輩を見つめながら、友永が手をあげ口を開く。

「水素、H。ヘリウム、He。リチウム、Li。ベリリウム、Be。ホウ素、B。炭素、C。窒素、N。酸素、O。フッ素、F。ネオン、Ne。ナトリウム、Na。マグネシウム、Mg。アルミニウム、Al。ケイ素、Si。リン、P。硫黄、S。塩素、Cl。アルゴン、Ar。カリウム、K。カルシウム、Ca。スカンジウム、Sc。チタン、Ti。バナジウム、V。クロム、Cr。マンガン、Mn。鉄、Fe。コバルト、Co。ニッケル、Ni。銅、Cu。亜鉛、Zn。…これであってますよね?」
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