先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
物理は距離を近づける
暑い夏も終わりを告げ、秋。十月の風はどこか涼しい。

その日部室へ行くと、星野先輩たち部員と杉田先生が何やら装置を取り囲んでいた。

「何してるんですか?というか、杉田先生はこの部活の顧問じゃないでしょ」

杉田先生はテニス部の顧問だったはず。ちなみにこの部活の顧問の先生は、理科とは全く関係ない国語の先生。

「いや、星野に電流と電圧の大きさをはかりたい言われてな。電圧計とか持ってきたんや」

テーブルの上には、電源装置に豆電球がつながれた装置が置かれている。

「電流が流れる道すじを回路と言うんですよね」

友永が星野先輩を見ながら言う。テメェ、ナチュラルに肩を抱くな〜!!その細い肩は俺の…ハァハァ…。

「うん、そうだよ。電流は、電源の+極から出て、−極に流れるんだ。電流の流れる向きと、電子の流れる向きは逆になるんだよ」

星野先輩がそう解説していると、「はい、男女が引っ付かない!」と杉田先生が間に割って入る。ザマァ〜。

「電熱線に流れる電流の大きさは、電熱線に加わる電圧の大きさに比例する。これをオームの法則と言うんや」

杉田先生が、電圧計をセットしながら言った。

「よし!こっちが直列回路でこっちが並列回路やで。直列やと電流が、並列やと電圧が同じなんや」

俺には違いがさっぱりわかんねぇ!でも、星野先輩は「ありがとうございます!」とかわいい笑顔を杉田先生に向けてる。腹立つ。彼女いない歴そこそこあるのに。

「たしか、電流を通しやすい物質を導体、ほとんど通さない物質を不導体、その中間が半導体だっけ」
< 18 / 27 >

この作品をシェア

pagetop